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45歳勝ち組エリートが《年収1200万円→500万円》に…銀行から届いた「封筒の中身」に震える

出典:ダイヤモンドオンライン

仕事で順風満帆なキャリアを歩むエリートサラリーマンであっても、年を重ねれば病気のリスクは避けられません。無事に復職を果たしたとしても、責任あるポストから外れることで年収が大幅に減少するケースは少なくないのが現実です。本記事では、誰にでも起こり得る不意の年収ダウンによって、住宅ローンの返済が困難に陥った事例を紹介。窮地に立たされた際のベストな打開策とは。One Asia法律事務所の古田雄哉弁護士に詳しく話を聞きました。(執筆/ライター 岩田いく実、監修/One Asia法律事務所 古田雄哉弁護士)

大手電子機器メーカーの管理職で
年収1200万円、順風満帆だったが…

「体調さえ戻れば、また前と同じように働けると思っていました」

 現在都内の工作機器メーカーの営業職に就いている前田さん(仮名・45歳)には妻と高校生の長女がいます。

 以前は都内で大手電子機器メーカーの管理職として働き、年収は1200万円ありました。順風満帆だった前田さんに異変が起きたのは6年前、前田さんが39歳の時でした。連日の深夜残業と接待が続く中、激しい腹痛と下痢、そして血便に見舞われたのです。

 しかし、10代のころからストレスを感じると腹部の張りが出やすく、「今回も過労だろう」と市販薬で誤魔化していました。しかし、1カ月で体重が4キロも減少したため医療事務としてパートで働く妻の強い勧めで大腸の内視鏡検査を受けました。

 その結果、医師から告げられたのは「潰瘍性大腸炎」。

「管理職としての責任感から、無理をしてでも出社しようとしました。しかし、1日に何度もトイレに駆け込む状態では仕事になりません。会社からも休職を勧められたため治療に専念することにしましたが、住宅ローンの返済に苦しむようになりました」

住宅ローンに中学受験
家計が火の車に

 休職期間中、給与の約3分の2が支払われる「傷病手当金」はありましたが、それまでの生活水準を維持するには到底足りませんでした。前田さんの家計を最も圧迫したのは、5年前に購入したばかりの都内7000万円のマンションです。ボーナス払いを併用し、月々の返済額は20万円を超えていました。

 さらに追い打ちをかけたのが、長女の中学受験です。娘には最高の教育を受けさせたい、その一心で通わせていた進学塾の費用や、私立中学への入学金。当時は「年収1200万円なら余裕だ」と考えていた固定費が、休職という非常事態には重い負担となって襲いかかってきたのです。

 1年半の療養を経て、前田さんは職場復帰を果たします。

責任あるポストから外れて
「年収700万円ダウン」の現実

 この時点で、前田家の貯蓄は大きく減少していました。しかし、以前のようなハードな管理職としての勤務は、医師から「再燃のリスクがある」と止められていました。

 会社側も当初理解は示してくれたものの、責任あるポストからは外れ、残業も制限されることに。その結果、待っていたのは年収が700万円ダウンし、500万円になるという現実でした。

「以前の半分以下の給料。それでも住宅ローンの額は変わりません。管理費や修繕積立金、固定資産税を合わせれば、手取りのほとんどが住居費に消えていく状態でした」

 妻に内緒で貯金を切り崩し、やりくりを誤魔化していましたがついにローンの引き落としが止まりました。この時ようやく家計のことを妻に相談できましたが、銀行からは督促電話が鳴り、そして「期限の利益喪失予告通知」(※)が届きました。それは、近々自宅が強制的に売却されるカウントダウンを意味するものでした。

(※)「期限の利益喪失予告通知」とは債務者が金銭消費貸借契約(住宅ローン等)における期限の利益を失ったことを債権者側が正式に通知する書面。分割払いで返済する権利(期限の利益)を失うことを予告するもので、喪失すると残債の一括返済が必要となる。

弁護士が差し伸べた
「救済策」とは

 絶望する前田さんが、藁をも掴む思いで相談したのが、住宅ローン問題に強い弁護士でした。そこで提案されたのが、競売を回避する「任意売却」という解決策です。

図表1
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家族の絆を取り戻すために
マイホームを任意売却へ

前田さんから依頼を受けた弁護士は銀行(債権者)との交渉を開始しました。

 その結果、銀行側も任意売却を承諾。結果として、自宅は市場価格に近い価格で売却でき、ローン残高を大幅に減らすことができました。さらに、売却代金の中から「引っ越し費用」を確保する交渉にも成功。

「家を離れる日は涙が出ましたが、妻が『これでやっと、毎月の督促におびえなくて済むね』と言ってくれたとき、本当に救われました」

 しかし、任意売却はその後に大きな影響を残すことも。そこで、任意売却における生活への影響についてOne Asia法律事務所の古田雄哉弁護士に話を聞きました。

競売回避でも「ブラックリスト」に登録
新規のローンやクレカ作成は困難に

――今回のようなケースで任意売却をすると、その後の生活にはどのような影響が残るでしょうか。

古田雄哉弁護士:住宅ローンの返済が数カ月滞っている場合、この時点で、個人信用情報機関に事故情報が登録されます(ブラックリスト)。競売も迫っているようなケースでは任意売却に成功しても、今後5~7年程度は新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが困難です。

 任意売却後に残った借金(残債)については、連帯保証人にも支払い義務が及びます。事前にしっかりと話し合い、理解を得る必要があります。

債権者が応じないケースも
考えられる

――任意売却は債権者への交渉が必要と聞きます。では、交渉が決裂する可能性はあるのでしょうか。

古田雄哉弁護士:任意売却はあくまで債権者との合意に基づくものです。競売の手続きが既にある程度進んでしまっている場合や、複数の金融機関から差し押さえを受けている場合、交渉がまとまらず、そのまま競売へ移行してしまうリスクもあります。

 家を売った代金でローンを完済できればいいですが、売却後も借金が残る場合は、抵当権者である金融機関とは売却代金等について協議しながら手続きを進めていく必要があります。

 任意売却後に債務が残る場合はこれをどのように支払っていくか、あるいは「自己破産」などの債務整理を併用するか、出口戦略をセットで考える必要があります。

任意売却のデメリットがあっても
競売は回避したほうがいい

古田雄哉弁護士:競売は市場価格より低額で売却されやすく、残債が多く残る可能性があり自己破産に至る可能性が高くなります。また、物件情報が公開されるためプライバシーへの影響もあり、売却時期や明け渡しについても柔軟な調整が難しく、生活再建の見通しを立てにくい点もデメリットです。

 特に不動産を任意売却した時の想定価格と残りのローン額を見比べて、ローンを完済できるか、完済できないとしてもなんとか払っていけそうな金額まで債務を減らせる見込みであるときは、任意売却によって競売を回避することを検討すべきでしょう。

 しかし、競売の通知が届いてから任意売却に切り替えるには、時間的な猶予があまりありません。買い手を見つける、銀行と交渉する、さらに契約を完了させるためには時間が必要です。

 前田さんのケースの任意売却が成功したのは、競売の申し立てがされる前の段階で弁護士に相談したからです。

 病気や減収で支払いが苦しくなったとき、プライドが邪魔をして周囲に相談できない方は多いですが、早めに動くほど「引っ越し時期の調整」や「引っ越し費用の確保」といった交渉もできます。家族と再スタートをするためにも、早めに法律相談を受けることが大切です。

※プライバシー保護のため、登場人物に関する情報の一部を変更しています。

古田 雄哉(ふるた・ゆうや)/One Asia法律事務所 大阪オフィス パートナー弁護士。社会保険労務士。 立命館大学法科大学院修了後、兵庫県内の法律事務所、同事務所の支店長職を経て現職。交通事故や労災等の損害賠償訴訟、および中小企業の労務管理・紛争予防や国際相続を専門とする。弁護士と社労士のダブルライセンスを活かし、労働環境の整備から訴訟対応までワンストップで支援。共著に『南アジアの法律実務』『問題不動産 対応マニュアル』などがある。