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住宅ローン金利は変動から固定に切り替えるべきか 日銀の利上げの行方、米関税で見通せず
出典:産経新聞
日銀による利上げは、まず変動型の住宅ローンや事業向け融資の金利を押し上げ、個人や企業の負担を膨らませる。ただ、「トランプ関税」の影響で利上げの行方は見極めにくくなっており、個人も企業も、暮らしや経営の組み立てに苦労しそうだ。
「返済期間35年の変動金利型の住宅ローンでマンションを買ったばかり。初めての子供も生まれた。さまざまな費用が膨らむ中、金利がどう上がっていくのか心配だ」
大阪府吹田市の男性会社員(35)はこう話す。
日銀の1月の利上げを受け、金融機関は変動型の住宅ローン金利を引き上げている。関西みらい銀行は、新規に借り入れる変動型の最優遇金利を4月1日、年0・445%から0・595%に引き上げた。
金融機関は預金金利も上げているが、みずほリサーチ&テクノロジーズの服部直樹・シニア日本経済エコノミストによると、「ローンを抱える個人は預金収入よりローンの返済負担の増加のほうが大きい」という。
服部氏は借入額3千万円、返済期間35年の変動型で、返済2年目に金利が0・35%から0・6%に上がると仮定し試算した。
元金と利息の合計額を毎月一定にする「元利均等返済」では多くの金融機関が原則5年ごとに毎月の返済額を見直す「5年ルール」を置く。これを踏まえると、返済開始後5年目までの返済額は年91万1千円だが6年目以降は95万5千円に。返済総額は133万円増える。追加で日銀が利上げしローン金利が上がれば一層負担が増える。
だが服部氏は「米国が関税の水準を低く抑えれば年内にも追加利上げできる可能性があるが、読みづらい」と語る。個人は、金利は高めだが一定期間変わらない固定型への切り替えを急ぐべきかなどを迷う局面にある。
一方、東京商工リサーチ関西支社によると企業への融資の変動金利も上がり始めた。情報部の新田善彦リーダーによると、製造業者から「資材高などで収益力が落ちており、これ以上、金利が上がると返済負担が厳しくなる」といった声が寄せられている。
利上げの時期が読めなければ設備投資の計画が決められず業績に影響する。新田氏は「中小企業は倒産の危機に直面しかねない」としている。(山口暢彦)