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住宅ローン金利はさらに上がる? 自民大勝の宴のあとに迫る“高金利時代の不動産”

出典:文春オンライン

 2月8日に実施された衆議院議員選挙において高市早苗首相率いる自民党が単独で3分の2(310議席)を超える316議席という圧倒的多数の議席を獲得。連立政権を組む日本維新の会36議席を加え、ほぼどのような法案でも絶対多数で通すことができる強固な政治体制を築くことに成功した。

 今後は高市首相が自ら掲げた公約をどこまで実施していくかその手腕が問われることになるが、不動産マーケットにとってどのような影響があるのかを検証しよう。

高市政権の「積極財政」は成功するのか?

 まずポジティブな面からいえば、補正予算18.5兆円を組んで戦略17分野に財政支出するとした「日本を強く、豊かにする」政策が実施されることによる日本経済の力強い成長が実現することだ。積極財政はインフレを加速させる要因になることは間違いないが、インフレに打ち勝つ経済成長があり、一般国民の懐がどんどん豊かになれば、高市首相の人気は実力が伴ってさらに高みを目指すことになるだろう。

 インフレの進行は、不動産などの現物資産の値上がりを期待した投資マネーの流入につながり不動産マーケットが活況を継続する期待が持たれる。

 いっぽう一連の積極財政政策は景気回復による税収増に期待するものの、財源としての一定額の国債発行は避けられない側面を持つ。厳しい財政事情にある我が国が、さらに大量の国債を発行することは一種の賭けとなる。戦略分野への財政支出によって日本経済が奇跡的な成長を遂げること、食料品における期間限定の消費税減税により日本人の消費意欲が改善して生活が豊かになり、経済成長が実現するといったシナリオが実現できずにいれば、国民生活がますます困窮するだけのスタグフレーションに陥ることが懸念される。

 マーケットはすでにこの政策に関して疑問符を付けている。長期金利の上昇だ。10年物国債利回りは2.232%(2月10日)、1年前の1.238%に比べ1%の上昇になっている。40年物に至っては4%を超える水準に近付いてきている。

住宅ローン金利はさらに上がる? 家を買う人への影響は

 こうした動きに対して、30年にもわたり低金利の恩恵を被ってきた不動産マーケットは岐路に立たされている。

 住宅ローンの変動金利型は日銀の政策金利によって決定される短期プライムレートに連動する。2024年7月以来3回にわたる利上げによって0.75%の上昇となったが、今年は複数回の利上げが見込まれる。1月の政策決定会合で利上げは見送られたものの、中立金利といわれるインフレにもデフレにもならないレートの設定が1%から2.5%のレンジにあるとする日銀が、どんなに政権に忖度したとしても政策金利をこのまま据え置く理由はないからだ。

 いっぽう固定金利型についてはすでに長期金利の上昇の影響から、フラット35などの住宅ローンでは21年以上の借入の最低金利でも2%を超える条件となっている。

 不動産に関わる金利は住宅ローンばかりではない。不動産投資マーケットに対する金利の影響は更に甚大なものになる。東京湾岸エリアなどの区分所有マンションの投資利回りは物件にもよるが表面利回りで3%前後になっている。1年前と比べて、リスクフリーレートとされる10年物国債利回りが1%上昇したということは、投資期待利回りの水準に国債利回りの上昇分を加味しなければならなくなる。つまり昨年までは期待利回り3%で投資できた物件でも、今後の投資においては4%程度の利回りを得られなければ投資対象としては選ばれなくなるからだ。

賃料の引き上げは現実的か? タワマン価格の異変

 ならば賃料がインフレに応じて値上げできれば相場は保たれることになるが、現状相場で利回り上昇分を確保するには賃料を33%引き上げることが必要になる。だが残念なことに賃貸マーケットはあくまでも実需ベースで価格決定される。日本国民の実質収入が大幅に改善しなければ、この企みは絵に描いた餅となってしまう。

 不動産投資は金融機関からの調達によるレバレッジを駆使して行うものだが、金利という水面が上昇してくれば当然期待利回りを上げていかなければならない。肝心なのは賃料を払ってくれる借り手側の懐事情如何ということなのだ。

 現在の東京都心や大阪中心部などの不動産マーケットは実需から離れた投資マーケットで支えられている。投資マーケットの論理は今後の不動産価格に大きな影響を及ぼすことになるのである。

 すでに東京の湾岸エリアの中古タワマンマーケットに兆候をみることができる。売り在庫が急激に膨らんでいるのだ。昨年秋の時点で売り在庫が前年同期比で4倍に、買い需要は半減している。売り側はインフレの進行で不動産価格の上昇は続くとみて強気の価格設定を行う。1住戸で1億7000万円から8000万円程度の売値を崩さない。ところが湾岸タワマンを実需として買い求めたい世帯年収で1500万円から2000万円のパワーカップルが夫婦ペアローンを組んでも1億2000万円から3000万円が限界。さらに今後の金利上昇や管理費、修繕積立金の引上げ予測などを加味するとこれ以上の背伸びができない状況にある。いっぽうで投資用物件として考えても表面利回りで2%前半くらいでは、今後の金利上昇を考えると投資対象になりにくい状況にある。実需にも投資にも適合しない価格レンジにあってはさすがに取引が成立しないのが現在のマーケット概況である。

円安が支える不動産市場で「外国人による投資」は…

 こうした論理を翻す可能性があるのが、外国人による不動産投資熱だ。昨年12月、日銀が利上げを行い、欧米との金利差は縮まったにもかかわらず、ドル円レートは円安に振れるという皮肉な結果になった。世界の金融マーケットで円の信認が落ちていることの表れだ。

 さらに皮肉なことに金利が上がるにもかかわらず、円安状態が継続することは投資に支えられている日本の不動産マーケットを買い支える勢力が温存されることを意味する。円安が続く限り日本の不動産は外国人投資家からみて相変わらずの大バーゲンセールであることに変わりがないのだ。彼らの実需としてのニーズが継続できれば不動産マーケットの相場をある程度維持できるのではないかという期待がもたげてくる。

 外国人投資家は区分所有マンションの爆買いだけでなく、アクティビストを通じて日本の大企業不動産の掘り起こし、スピンオフを促し、排出された都心優良不動産を外資系不動産投資ファンドの傘下に入れている。

 だがここで気になるのが、高市内閣が選挙時にも触れていた外国人規制だ。相互主義の観点から外国人の不動産買いを規制しろとの主張が根強い。こうした声に応えて選挙後、外国人による投資に厳しい規制がかけられるようになれば、最後の頼みの綱を失った不動産マーケットはどうなるだろうか。

 当然だが、現状の実需マーケットにおけるローン水準、不動産投資における期待利回りに収斂する価格に調整されるはずだ。今後の高市政権の動きから目が離せない。