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住宅ローンが35年返済で完済が「70歳」を過ぎます。年金生活になっても払い続ける人は多いのでしょうか?

出典:Yahoo!JAPANニュース

近年、住宅ローンの完済年齢が70歳を超えるという話を耳にするようになりました。しかし、年金生活に入ってからのローン返済は、家計に大きな負担を与える可能性があります。 本記事では、住宅ローンの完済年齢の現状や、年金生活での返済の実態、そして老後の生活を安定させるための対策について解説します。 ▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説

住宅ローンの完済年齢の現状

住宅ローンの完済年齢は上昇傾向にあるといわれています。独立行政法人住宅金融支援機構の「2023年度 フラット35利用者調査」によると、住宅ローン利用者の平均年齢は44.3歳であり、2017年度以降上昇傾向が続いています。また、借入期間の平均は32.0年、中央値は35.0年となっており、完済時の平均年齢は約76~80歳と推定されます。

あくまでも推測になりますが、これらのデータから、例えば35歳から住宅ローンを35年間組んで、完済時に70歳を超えてもローンを返済していくことになる人は今後、今より増えていく可能性は十分考えられるでしょう。 ただ、70歳で年金生活に入っていても住宅ローンを払い続けるという人が多いかどうかまでは言い切ることができません。

年金生活での住宅ローン返済の実態

年金生活に入ってからも住宅ローンを返済し続けることは、想像以上に家計に対して大きな負担を与える可能性があります。

金融広報中央委員会 知るぽるとの「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、住宅ローン返済中の世帯主が70歳代の高齢者世帯では、住宅ローン残高が平均で233万円となっています。70歳代で年金生活をしている中、233万円もの負債を抱えて生活することを考えてみてください。多くの方が不安になるはずです。

日本年金機構によれば、令和7年4月分からの厚生年金の支給額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月額およそ23万円となっています。70歳という年齢においてこの額の年金収入から一定額の住宅ローンを支払っていくのは不可能ではないでしょうが、決して余裕のある生活ができるわけではないと思われます。

おそらく、多くの世帯が毎月切り詰めながら住宅ローンの返済を年金から捻出したり、これまでの貯金を切り崩したりして対応していることでしょう。場合によっては、ライフプランを変更して就労する方もいるかもしれません。

70歳までローンが残ることが想定される場合に老後の生活を安定させるための対策

住宅ローンを70歳まで返済し続けることは、老後において大きなリスクのひとつとなりえます。それを踏まえ、老後の生活を安定させるために、住宅ローンを少しでも老後に持ち越さないよう繰り上げ返済の活用を検討しましょう。繰り上げ返済を行うことで、返済期間を短縮し、完済時の年齢を引き下げることができます。

老後の年金生活に入るまでの10年、20年と、長い時間をかけてコツコツ節約したり、収入アップを実現して繰り上げ返済を繰り返したりしていくことで、結果的に完済年齢を65歳や60歳などに早め、老後の負担を減らすことができるでしょう。

どうしても、繰り上げ返済が難しいという場合、自宅を担保にして融資を受けるリバースモーゲージの利用も選択肢のひとつとなります。 ただし、リバースモーゲージは、借り入れた方の死亡時には自宅を売却して借入金を清算することが前提のシステムです。慎重に検討しなければ、相続人たちが自宅を相続できず途方に暮れるなどの事態が起こりえるため、契約内容やリスクについては十分に理解する必要があります。

まとめ

住宅ローンの完済年齢が高齢化していけば、年金生活に入ってから返済を続ける人も増えていくでしょう。しかし、年金生活では住宅ローンの返済が難しい場合も想定されます。

70歳を過ぎてもローンの返済が続くことが想定される中で、老後の生活を安定させるためには、基本的に繰り上げ返済を視野に入れる必要があるでしょう。また、リバースモーゲージの利用もひとつの選択肢となりますが、慎重な検討が求められます。

いずれにせよ、老後もローン返済が想定される状況であれば、早めに返済計画を見直し、安心できる老後を迎えるための準備を進める必要があるでしょう。

出典 独立行政法人住宅金融支援機構

フラット35利用者調査 2023年度集計表 全体 金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号31 住宅ローン残高(借入金額回答世帯) 日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について

執筆者 : 柘植輝 行政書士