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住宅ローン減税額が減る可能性も…【103万円の壁】引き上げの影響

2025年度の「税制改正大綱」
2024年の解散総選挙で国民民主党が政策の目玉として話題になり、2024年12月27日に政府が閣議決定しました。
税制改正大綱は、新年度以降の税金の制度の方針などをまとめたものです。
これをもとに作られた改正法案が国会で審議され、3月に成立すれば4月から施行されることになります。

2025年度の税制改正大綱を閣議決定

所得税の課税最低ラインを「103万円」から「123万円」に引き上げる。

パートやアルバイトで働き、所得税がかかるボーダーライン、いわゆる「年収103万円の壁」これを現在、賃金上昇率にあわせて178万円にまで引き上げる議論が、国会で進んでいます。これにより影響を受ける方は広く、住宅ローン減税を利用されている方は、住宅ローン減税額に影響を受ける可能性があります。それでは住宅ローン減税を利用されている方に考えられる影響について紹介します。

年収103万円の壁

いわゆる「103万円の壁」とは、給与収入がメインの方の場合、基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円があり、合わせて103万円までは所得税が課税されないというものでした。

今回の税制改正大綱では、基礎控除が48万円から58万円に、給与所得控除は55万円から65万円となり、控除額の合計が123万円となりました。衆院選で議席を伸ばした国民民主党は、178万円までの引き上げを求めているわけですが、今回の改正大綱ではその額まで届きませんでした。

結論から申し上げれば、もし「年収103万円の壁」が引き上げられると、現在住宅ローン減税を利用されている方の中には、住宅ローン減税による減税額が減ってしまう方が出てくる可能性があります。なぜなら、年収103万円の壁引き上げの「からくり」と住宅ローン減税の関係性にあります。

まずは年収103万円の壁引き上げのからくりから紹介します。

年収103万円の壁引き上げのからくり

「基礎控除」という言葉を知ってますか?

基礎控除とは税金計算の際、所得金額から差し引くことで税金額を小さくすることができる「所得控除」の1つです。広く多くの方に適用されるしくみで、合計所得金額が2,500万円を超えると受けることはできないものの、合計所得金額2,400万円以下であれば一律で48万円を差し引くことができます。高い税率が適用される所得の高い方ほど、節税額は大きくなります。

政府与党では、基礎控除を賃金上昇率にあわせて123万円にまで引き上げ、それによって給与収入178万円まで所得税がかからないようにしようという議論が進んでいます。もし基礎控除引き上げにより年収103万円の壁が引き上げられるなら、現在年収103万円を超えて働いている方は税額が減ることとなりますので、わたしたち納税者にとっては明るいニュースだと思います。

基礎控除引き上げによる住宅ローン控除への影響

一方、住宅ローン減税は、正式には「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを利用して住まいを取得した人が原則として13年間利用できる税額控除の1つです。

税額控除は所得から所得控除を差し引いて、計算された税額からダイレクトに差し引くことで節税できます。なお、税額控除額の上限は原則として所得控除後の所得から算出された税額とイコールとなります。

基礎控除が引き上げられるとしたら…?

もし基礎控除が上がれば、所得控除が大きくなり、税額が小さくなる、ということですから、住宅ローン減税といった税額控除の上限額は確実に小さくなります。

もっとも、住宅ローン減税は所得税から引き切れない場合は住民税からも引けるようになっていますが、住民税からの控除額は所得税の課税所得金額等の5%、97,500円が上限となります。

基礎控除の引き上げによって納税負担が減れば、住宅ローン減税の対象とできる住宅ローン残高は100万円程度引き下がる可能性もあります。住宅ローンの利用の仕方や借入額によっても異なりますが、特に年収600万円前後の方で連帯債務やお一人で住宅ローンを組まれている方は要注意です。場合によっては住宅ローン減税をフルに受けられなくなる方もいらっしゃるでしょう。

生活に関わる情報【税制改正大綱】

本記事では、住宅ローン減税にも影響する103万円の壁について解説していきました。

103万円の壁が123万円に引き上げられると、働き方が変わる方もいらっしゃるでしょうし、税制が変わることで私たちの経済環境も変わってくると考えると、とても大事な決定です。

このように私たちの生活に直接関係する話題が【税制改正大綱】にはたくさん盛り込まれています。

今年の年末となると、先のことですが年末には税制改正大綱のニュースをチェックしてみるのもいいかもしれません。