住宅ローンの変動金利とは?金利が17年ぶりに上昇
「住宅ローンの変動金利」とは、金利が一定期間ごとに市場の金利に連動して変動するローンのことです。変動金利は、市場の金利が低ければ返済額が減り、逆に金利が上がれば返済額が増加する仕組みです。
最近、日本では金利が17年ぶりに上昇したというニュースが注目されています。これにより、変動金利型の住宅ローンを利用している人々への影響が出始めています。以下、変動金利の仕組みや金利上昇の影響、対策について詳しく説明します。
1.変動金利の仕組み
変動金利は、市場の短期金利や政策金利に連動して金利が変わります。具体的な仕組みは以下の通りです。
◼︎半年ごとの金利見直し: 金利は通常6ヶ月ごとに見直され、金融機関が設定する基準金利に基づきます。この基準金利は、日銀の政策金利や市場金利(短期プライムレート)に影響を受けます。
◼︎5年ごとの返済額見直し: 返済額は通常、5年間は一定に保たれます。しかし、その間に金利が上がった場合、返済額に充てられる利息部分が増えるため、元金の返済が減少します。その結果、5年後に返済額が大きく上がることがあります。
◼︎返済額の上昇幅に制限あり: 大きな金利上昇があった場合でも、5年ごとの返済額の上昇幅は通常「最大1.25倍まで」に制限されています。ただし、金利の上昇が激しい場合、元金の減りが少なく、利息ばかりが増えるリスクがあります。
2.金利が17年ぶりに上昇した背景
2023年後半から2024年にかけて、世界的な物価高やインフレ圧力を背景に、各国の中央銀行が金利を引き上げています。日本でも、長らく続いていた超低金利政策が見直されつつあり、これに伴い住宅ローンの金利も上昇しています。
大手銀行5行は10月30日、10月の住宅ローン金利を発表しました。
契約者の約7割が利用する変動型について、全行が基準金利を2007年以来17年ぶりに引き上げ、2.625%(前月は2.475%)としました。日銀の追加利上げを受け、9月に参考指標となる短期プライムレートを引き上げたことを反映しました。
特に、以下の要因が影響しています。
◼︎インフレ抑制策: 世界的な物価高を抑制するため、中央銀行が金利を引き上げる動きが続いています。これにより、日本の金融市場にも影響が及び、金利が上昇しています。
◼︎長期金利の上昇: 日銀が長期金利の上昇を許容する政策変更を行ったことも、住宅ローンの金利上昇に繋がっています。
3.金利上昇による影響
金利が17年ぶりに上昇したことで、変動金利型の住宅ローンを利用している人々には次のような影響が考えられます。
① 毎月の返済額の増加
金利が上昇すると、その影響は半年ごとに反映されます。毎月の返済額が増加するため、家計の負担が大きくなります。5年間の固定返済期間が終わった後は、急激に返済額が増えるリスクもあります。
② 元金の減りが遅くなる
金利が上昇すると、返済額の大部分が利息に充てられ、元金の減少が遅くなります。特に、ローン初期の期間で金利が上昇すると、長期間にわたって元金が減らないという問題が発生し、返済期間が延びる可能性もあります。
③ 住宅ローン総額が増える
金利が上昇すると、ローン全体で支払う利息が増加するため、結果的に返済総額も大きくなります。これにより、家計の長期的な負担がさらに増加します。
変動金利を選んでいる人が取るべき対策
変動金利のローンを利用している場合、金利上昇に備えて次のような対策を検討することが重要です。
① 固定金利への借り換えを検討
固定金利は契約時に決まった金利が返済終了まで変わらないため、金利上昇のリスクを避けることができます。現在、金利が上昇傾向にあるため、低金利のうちに固定金利への借り換えを検討するのも有効な方法です。
◼︎全期間固定金利: 住宅ローンの全期間にわたって金利が固定され、将来の金利変動の影響を受けません。
◼︎固定期間選択型: 一定期間(5年、10年など)だけ金利を固定し、その後再度金利を選択する方式です。
② 繰り上げ返済で元金を減らす
繰り上げ返済を行い、元金を早めに減らすことで、金利上昇による利息負担を軽減できます。金利が上昇する前に元金を減らしておけば、総返済額の増加を防ぐことができます。
③ 家計の見直しと支出削減
金利上昇に伴い返済額が増えるため、家計全体の見直しや支出削減も必要です。特に、固定費(通信費、保険料など)の削減を行うことで、ローン返済に充てる資金を確保することが重要です。
④ 金融機関と相談する
金融機関によっては、返済が困難な場合に返済期間の延長や返済額の見直しが可能な場合があります。金利上昇による返済負担が大きくなる前に、早めに相談することが重要です。
変動金利型の住宅ローンは、金利が低い時にはメリットが大きいものの、金利が上昇すると返済額が急増するリスクがあります。現在のように17年ぶりの金利上昇局面では、変動金利を選んでいる人は慎重に対策を講じる必要があります。金利動向を注視し、必要であれば固定金利への借り換えや繰り上げ返済などを検討して、将来的な返済負担を軽減しましょう。
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