住宅ローン滞納で給料が差し押さえられる?差し押さえのタイミングや滞納時の対処法などを紹介
ローンの滞納を続けていると最終的には差し押さえ処置をとられる可能性もあります。
しかし、ローンの滞納後すぐに給料の差し押さえが行われるわけではありません。
本記事では、住宅ローンを滞納して困っている方向けに差し押さえのタイミングや滞納時の対処法などについて解説していきます。
01.住宅ローン滞納後すぐに給料が差し押さえられる可能性は低い
住宅ローンを滞納後すぐに給料が差し押さえられる可能性は低いです。
ローンの滞納を続けていると給料の差し押さえ前に住宅が競売にかけられます。
競売によりローン残高の返済ができなかった場合に、最終的に給料の差し押さえが実行されます。
とはいえ、住宅の競売に至るまでにも複数の段階があり、「滞納=競売」ではないため安心してください。
いくつかの段階を経て競売にかけられるまでには最低でも約1年かかります。
住宅ローンの滞納に悩んでおり、給料の差し押さえの心配をしている場合は期間内に対処し差し押さえを防ぐ必要があります。
02.給料の差し押さえ方法は主に2段階
給料の差し押さえ方法は以下の2段階に分かれています。
- 勤務先に通知が届く
- 差し押さえられた分を差し引いた金額が振り込まれる
勤務先に通知が届く
はじめに、給料の差し押さえ前には職場に差し押さえ通知が届きます。
そのため、住宅の競売を経て給料の差し押さえまでいくと滞納が職場に知られることになるため注意が必要です。
差し押さえられた分を差し引いた金額が振り込まれる
職場に差し押さえ通知が届くとついに給料の差し押さえが開始されます。
差し押さえは給料全額が対象ではなく以下の条件が対象です。
- 可処分所得(手取り金額)の4分の1
- 可処分所得(手取り金額)が44万円を超える場合は33万円を超える分全額
基本的には手取り金額の4分の1の金額が対象となるため、手取り25万円の場合には6.25万円が差し押さえ対象額となります。
また、手取りが45万円の場合には12万円が差し押さえ対象額となり33万円が手元に残ります。
差し押さえの対象となるのは月々の給料のみだけではなく、ボーナスも含まれるため注意してください。
現在の給料やボーナスを元に計算すると、自分が差し押さえられた場合の金額がわかります。
03.給料差し押さえのタイミングは競売や任意売却後
給料の差し押さえのタイミングは競売や任意売却後であることがほとんどです。
滞納が長期的に継続した場合、住宅ローンの支払いの流れは基本的に住宅の売却により支払われます。
競売もしくは任意売却により住宅を売却し住宅ローンの残債を支払います。
上記の手続き後にローンを完済できれば問題ないのですが、問題となるのがオーバーローンと言われローンがまだ残っている状況です。
競売や任意売却後もローンが残っているオーバーローンの場合には、保証会社は次の回収手段として口座や給料の差し押さえにうつります。
そのため給料の差し押さえになるタイミングは住宅を売却した後であり、住宅売却後もローンが残っている状況である場合となります。
04.滞納期間別給与差し押さえの手続きとは
住宅ローン滞納期間による手続きは以下のとおりです。
- 滞納1〜6か月では銀行から催促状が届く
- 滞納6か月〜1年5か月では裁判所から競売通知や調査通知書が届く
- 滞納1年6か月が経過した場合は買取人が決まり強制退去する
と、住宅ローンを滞納している期間によって受ける手続きが異なります。
滞納1〜6か月では銀行から催促状が届く
はじめに、ローン滞納後1か月程度で銀行から催促状が届きます。
催促状は支払い期日を超過している者に対して、支払いを促すために出す書類です。
約3か月までは複数回にわたって催促状が送られてきますが、催促状を3か月以上放置していると「期限の利益の喪失通知」に切り替わります。
期限の利益の喪失通知に記載された期日までに返済しなければ、ローンを一括で返済することになるため注意が必要です。
滞納6か月〜1年5か月では裁判所から競売通知や調査通知書が届く
滞納を続け、あらゆる通知に対応せずに無視していると裁判所から競売通知や調査通知が届きます。
期限の利益を喪失した時点では、多くの場合求められる一括返済が既に難しい状況にあり、ほとんどの場合は競売に進むことになります。
競売の開始前には不動産の調査が必要ですので、調査通知が届き執行官により状況調査が開始されます。
滞納1年6か月が経過した場合は買取人が決まり強制退去する
調査が進み競売が開始される買取人が決まるまで待機します。
スムーズに買取人が決まると物件を引き渡す必要があるため、期日までに自宅からの退去が必要です。
競売開始から買取人が決まるまでに多少の差はありますが、滞納から約1年6か月で強制退去まで進みます。
05.住宅ローン滞納による給料差し押さえのリスク
給料差し押さえによるリスクは以下のとおりです。
- ブラックリストに載る
- 勤務先やキャリアに悪影響が生じる
- 遅延損害金が高額になる
ブラックリストに載る
ローンの滞納が続くとブラックリストに載るリスクがあります。
ローンを組んだ時点で信用情報に登録され、借入れ情報や返済情報などが登録され、ブラックリストに載ると社会的信用が失われるため、他社での借入れやクレジットカードを作ることはもちろん使用もできなくなります。
勤務先やキャリアに悪影響が生じる
給料の差し押さえにより勤務先やキャリアに悪影響が生じるリスクがあります。
先述したように給料の差し押さえとなると勤務先に通知がいくためローン滞納の状況を知られるのは必須です。
勤務先の対応により異なりますが、今後のキャリアの影響も考えなくてはなりません。
遅延損害金が高額になる
給料の差し押さえに至るまでに滞納が続くと遅延賠償金が高額になるリスクがあります。
遅延賠償金は、期限までに支払われなかった額に対して発生する罰金です。
支払い期限から日数が経過すればするほど遅延損害金は高額になります。
滞納した際には遅延損害金が発生することも念頭に入れ、事前に確認しましょう。
06.住宅ローン滞納による給料差し押さえの対処法
給料差し押さえの対処法は以下のとおりです。
- 債務整理を活用する
- 任意売却で高価売却を狙う
- 債権者に交渉して支払う努力をする
債務整理を活用する
給料差し押さえの対処法として債務整理を活用する方法があります。
債務整理は3つのパターンがあります。
- 任意整理
- 自己破産
- 民事再生
任意整理と民事再生では、支払いは継続しますが返済額や借金の減額が可能です。
また、早々に対処すれば自宅を手放さずに進めることもできます。
一方で、自己破産は財産を処分することで借金は免除されますが自宅は手放すことになります。
どの方法も早めに実行することで給料差し押さえを逃れることが可能です。
任意売却で高価売却を狙う
給料差し押さえの対処法として任意売却にて高価売却を狙う方法があります。
期限の利益を喪失後は、一括返済が求められます。
そのため、住宅の売却を検討する方も多いですが競売よりも任意売却がおすすめです。
競売と任意売却を比較すると任意売却の方が高額で売却できる可能性があります。
できる限り高額で売却することは後に給料差し押さえになる可能性を下げることになるため重要な判断です。
実績がある不動産会社に早めに相談して高額で売却できるように進めましょう。
債権者に交渉して支払う努力をする
最初にする対処法としては、債権者に交渉して支払う努力をすることです。
ローンを滞納してしまう前に金融機関に相談することが望ましいですが、滞納が続いてしまった場合でも、交渉して支払う努力をしましょう。
競売や給料差し押さえには多くの手続きや時間を要するため、債権者としても避けたい行為です。どのような状態においても、できるだけ早い段階で相談し対処するようにしてください。
07.給料が差し押さえる前に住宅ローン滞納に対処しよう
本記事では、住宅ローンを滞納して困っている方向けに差し押さえのタイミングや滞納時の対処法などについて解説してきました。
給料が差し押さえになってしまうと生活への影響だけではなく、勤務先にも知られ、キャリアにも影響が出る可能性もあります。
確かに住宅ローンを滞納してもすぐに給料の差し押さえになることはありません。
しかし、できるだけ早く相談し対処することで支払いの目処が立つこともあるでしょう。
一人で対応が難しい場合には、専門家に相談の上、一刻も早い交渉を進めましょう。