住宅ローン滞納は何回まで?滞納後の流れや滞納するリスク、対処法を紹介
住宅ローンを利用している人の中には、口座引き落としの日をうっかり忘れて、十分な額を入金せずに支払い忘れた経験があるかもしれません。ただ、予期せぬ事情が起こり返済が難しくなり滞納してしまったらどうなるでしょうか。本記事では滞納についての一連の流れ、リスクや対処法などについて説明しています。
住宅ローン滞納は一般的に2回目まで許される
借り入れ先は利用者の事情を考慮して、滞納が1~2回くらいであれば、とくに重いペナルティを用意しないといわれています。では、具体的な滞納の回数や考えられる処置を見てみましょう。
滞納1~2回目(1~2ヶ月):銀行から「支払い請求書」が届く
住宅ローンは基本的に2回目くらいまでの滞納であれば、大きなペナルティは課さないところが多いようです。急な病気や怪我などの突発的な事情や、うっかり忘れることもあるでしょう。厳しい督促はなく、圧着タイプのはがきで「支払い請求書」が送付されます。銀行によっては、電話で支払いの確認電話がかけられることもあるかもしれません。
払い忘れに気づいたら、銀行の指示に従い、迅速に滞納した分を支払って対処するのがおすすめです。
滞納2~3回目(2~3ヶ月):銀行から「催促状」や「催告書」が届く
住宅ローンの滞納が2~3回と続くと、銀行から「督促状」や「催告書」が届くようになります。「催告書」や「催告状」は支払請求書よりも厳しい内容です。電話でも早く支払うように連絡があるようです。
「催告状」や「催告書」ははがきではなく、封書で送付されることがほとんど。滞納期間や滞納分の金額が記載され、返済額に遅延損害金を加算した金額を支払うように書かれています。
滞納3~6回目(3~6ヶ月):「期限の利益喪失通知」と「代位弁済通知」が届く
住宅ローンの滞納が3回を超えると、借り入れをしている人に厳しい内容の書類が届くことになります。書類の内容は「期限の利益喪失通知」や「代位弁済通知」について書かれているのが一般的。
「期限の利益喪失通知」とは、借り入れをしている人が分割払いで返済する権利を失うことを知らせるものです。残債を一括払いする必要があり、厳しい状況に追い込まれるでしょう。
「代位弁済通知」は、保証会社が滞納をしている人の住宅ローンの残債を、利用者に代わって一括返済を行うことのお知らせ。もし、期日までの返済ができないようでしたら、貸し主は保証会社となり、そちらに返済することになります。
滞納6~9回目(6~9ヶ月):「競売開始決定通知」が届く
滞納している期間が6~9回となり、何も保証会社に相談もないままでいると、裁判所から「競売開始決定通知」が送付されます。「競売開始決定通知」とは、保証会社が裁判所に不動産の差し押さえの申し立てをしたということ。
強制的に執行する手続きをしたことを知らせ、滞納している利用者の家や土地を差し押さえ、売却したお金を支払いに充当させるための措置です。不動産の差し押さえをした情報は登記簿謄本にも記載され、当事者以外の人にも知られる恐れがあります。
滞納9~12回目(9~12ヶ月):現況調査が行われる
滞納をして9~12回目となると、裁判所から派遣された執行官と不動産鑑定士による自宅の現況調査が行われ、基準価格を査定します。競売は行政で認められた強制執行手続きで、滞納をしている人の意思の有無は関係ありません。ただ、都合が悪い場合は調査日の変更もできます。事前に連絡をして相談するといいでしょう。
滞納12~16回目(1年~1年4ヶ月):「期間入札決定通知書」が届く
滞納をして12~16回目くらいで、「期間入札決定通知」が郵送されます。内容は入札期間などの日時が記載されたもの。1~2週間の入札期間内に最も高値で入札した人が不動産を購入できます。
滞納16回目~:自宅が差し押さえられ強制退去を要求される
滞納16回目以降に自宅が差し押さえられます。自宅の競売の開札日に落札した人が決定し、お金を支払ったら、元の住宅の持ち主は家をでなくてはいけません。その場に住み続けようとしても、強制退去を求められます。立てこもりをしても玄関を開けられて追い出されるということ。すみやかに退去したほうがよさそうです。
住宅ローンを滞納するリスク
住宅ローンは多額のお金を借り入れできる分、滞納をすると大きなリスクが発生します。どのようなリスクがあるのか見てみましょう。
住宅ローン返済日に遅れると遅延損害金が発生する
住宅ローンの返済が遅れた場合、遅延損害金が発生します。遅延損害金とは、遅れた日数にかかる利息のこと。滞納している元金部分にかかる利息で、返済が遅れるほど増えます。
契約書には、「遅延利息」「延滞利息」などと書かれていることもあり、確認してみるといいでしょう。遅延損害金は年率で15~20%ほど。1年を365日として、遅れた日数を日割り計算するとおおよその金額がわかります。
遅延損害金の日割り計算の仕方は以下の通り。
- ローンの元金×遅延損害金の年率×滞納している日数÷365日
住宅ローンを約3ヵ月間(61日)、または3回滞納するとブラックリストにのる
住宅ローンを約3か月間(61日以上)、もしくは3回連続で滞納した場合、ブラックリストに入ります。ブラックリストとは、滞納者の情報を1つに集めたリストのことではありません。指定信用機関の個人信用情報に金融事故として明記され、クレジットカードの作成や新規のローンの申し込みが難しくなるといわれています。
自宅を差し押さえられて競売にかけられ売却される
住宅ローンの契約をする際に、自宅に抵当権を設定します。滞納して支払えなくなった時に、競売にかけて売却金額で残債を回収するためです。ローンの申し込みをした人は、せっかく建てた家に住めなくなりますね。また、競売で回収しても残債がすべて支払えない場合もあります。その場合、免除ができずに残債の支払いを続けなくてはいけなくなります。
滞納してしまった時の主な対処法は金融機関への相談と任意売却
滞納をした場合、早めに対処することでさまざまなトラブルを避けられます。とくに、病気や怪我、介護などで収入が減るなどの事情がある場合、滞納の対策を建てたほうがよさそうです。対処法を2例紹介します。
金融機関に相談し返済計画を見直す
住宅ローンの今後の支払いに不安がある時は、借り入れ先の金融機関に相談して、月々の返済額を減額するなどの返済計画を見直す方法もあります。滞納期間が2回くらいであれば、まだブラックリストには入っていません。返済期間の延長や金利の引き下げ、ローンの借り換えなどの相談に対応してもらえる場合もあるようです。
任意売却をし、売却益を返済にあてる
金融機関へ相談して同意があれば、任意売却の手続きも可能です。任意売却は滞納中の不動産を売却すること。不動産を市場価格で売り、代金で残債を減らして残った債務を返済していきます。
競売と異なる点は、すべての売却益を住宅ローンの返済に充当しなくても済むこと。任意売却の代金で引っ越し代などに使えますし、その後の返済計画にも相談にのってもらえる場合があります。できるだけ早く、競売手続きが始まる前に金融機関に相談するほうがよいでしょう。
住宅ローンを滞納しそうだと感じたらすぐに対応しよう
住宅ローンを滞納しそうであったら、早めに対処したほうがよいでしょう。ブラックリストに入るだけではありません。最悪の場合、競売にかけられ住む家を強制的に立ち退くことにもなりかねないでしょう。傷が浅いうちに住宅ローンの相談窓口に連絡することをおすすめします。