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税金を滞納したら不動産を差し押さえられる?公売予告通知や競売との違いを解説

いろいろな出費が重なり税金の支払いが遅れてしまった時、どのように対応できず1人で抱え込んでしまう人もいるかもしれません。本記事では税金を滞納してしまった際の流れと注意点、また、滞納時の最終通告とも言える『公売予告通知』の取り扱いについても詳しく解説します。

税金の滞納が長期化したら公売予告通知書が送付される

毎月一定の金額を納めている税金。納税は国民の義務とされているため、税金の滞納が長引くと各自治体から『公売予告通知』が届きます。公売予告通知とはどんな通知なのか、そもそも公売とは何なのでしょうか。詳しく見ていきます。

公売予告通知書とは差し押さえた財産の公売開始を滞納者に事前に知らせる通知

公売予告通知とは、税金滞納者に対して自治体が発行する通知で、滞納している税金を回収するために、差し押えた財産を『公売』にかけることを知らせるための通知です。ただし、実際に公売にかけるまでには相応の手間や準備が発生するため、公売予告通知を送ることで、公売が本格的に始まるまでに自発的に納税してもらいたいという最終通達の役目もあります。

そもそも公売とは国や地方自治体が差し押さえた財産を売却すること

そもそも『公売』という言葉自体あまり聞きなれないかと思いますが、公売とは国や地方自治体が、税金を回収するために使う手段の1つで、正式には『換価処分』と呼ばれます。国や地方公共団体が、滞納者から税金を回収するために滞納者の財産を差押えて強制的に換金することで、滞納している税金の支払いに充てようとするものです。

差押えは、税金を滞納したらすぐに発生するというわけではなく、国税であればまずは納税をうながす督促状が発送され、督促状の発行から10日経っても引き続き納税されない時に初めて、財産の差押えをおこなうと法律で決められています。

しかし実際のところは10日が経過したからすぐに差押えが実行されるということは少なく、自治体も税務署も、滞納してる人には可能な限り自発的に納税してもらうよう指導されているため、万が一納税ができなかった場合はまずは自治体や税務署へ相談してみるとよいでしょう。

税金を滞納してから公売までの流れ

税金を滞納すると公売にかけられてしまうということがわかったところで、具体的に滞納してしまってから公売にかけられるまでの流れを確認してみましょう。

税金の滞納開始

出費がかさんだなど、さまざまな事情で納税ができず税金の納付が滞ってしまいます。税金の場合はどんな事情があれ、1日でも納税が遅れると『滞納』となります。

督促状が送付され支払いを促される

納税期限を過ぎ、滞納してから20日が経過してもなお納税できていない場合は督促状が届きます。督促状が発送された日から10日以内に税金が納められなかった場合は、国税徴収法に則り、差押えをしなければならないと規定されています。(国税徴収法47条1項1号)

実際には、先述したように10日経ってすぐ公売にかけられるということは少ないので、督促状が届いてもなお納税が難しい場合は、自治体や税務署へ相談してみましょう。

訪問や電話で催告が行われる

督促状を文書で発行したとしても、どの文書が読まれているかわからないため、自治体や税務署によっては戸別訪問をしたり、電話で納税の催告がおこなわれることがあります。

滞納者にどのような財産があるか財産調査が実施される

滞納が続くと、自治体や税務署では滞納者の財産の差押えが視野に入ります。そこで、差押えをするために滞納者がどのような財産をどれくらい持っているのかの調査が始まります。不動産の差押えをおこなう場合には、不動産の差押えに必要な情報の取得をおこなったり、銀行預金を差押えるために、どの銀行の口座にいくら入っているかまで調べられます。

税金を支払続けなければ差押予告通知が送付され差押えや調査が行われる

督促状や催告をおこなってもなお支払いがおこなわなければ『差押予告通知』が発行され、期日までに滞納分を支払わなければ財産の差押えがおこなわれるという旨が知らされます。これまでの手順では、通知が届いてもすぐには差押えはおこなわれないと説明してきましたが、差押予告通知についてはこの通知が届いたらいつ差押えが始まってもおかしくない、という状況にあることを理解しておいてください。

差押予告通知書が届いた後、事前調査の内容に基づいて財産の差押えが始まります。差押えた財産ごとの取り扱いは以下の通りです。
・動産
差押えをおこなう職員が滞納者の自宅から直接動産を持ち出し保管する
・不動産
滞納者に『差押書』を通知したうえで滞納処分として差押えた旨の不動産登記をおこなう
・債権(銀行預金など)

『債権差押通知書』という通知が発行され、銀行に対して「債権を差押えたこと」「滞納者からの引き出しがあっても応じてはならない」という旨が記載されています。

公売予告通知書が送付され公売開始を予告される

上記手順で差押えられた滞納者の動産や不動産、債権の内、動産と不動産はこの後公売にかけられることになります。公売にかける準備が整い次第『公売予告通知』が滞納者の元に届き、差押えた動産・不動産が公売にかけられることが知らされます。

公売の開始

公売予告通知を発行した後は、実際に公売がおこなわれることになります。公売はオークションのような形式で差押えた財産の買い手を探します。公売の情報は、国税庁がインターネットで公開しているため、掲載されている情報を基に希望者が入札します。そして落札され入金された代金が未納の税金分として充当されることになります。

ちなみに、公売での落札価格は市場での相場の7割~8割程度といわれており、安い金額で買われることになるので、同じ『売却』として考えると自分で売却するほうが高い金額で売れると言えるでしょう。

公売と競売の主な違いは誰が売却を行うかの違い

公売と似た意味でよく使われるものに『競売』があります。両者はともにお金を支払えなくなった人の財産を売買することを意味する言葉ですが、誰がその売買を担当するかによって使い分けられます。
公売は先述したように、税金の滞納があった場合に『税務署や自治体』が滞納者の財産を売却するものであり、競売は住宅ローンなどの滞納があった場合に『金融機関が』申し立てを行い売却することを指します。
税務署や自治体がおこなうものが『公売』、金融機関がおこなうものが『競売』ということですね。

税金を滞納してしまった際に公売を回避する方法

税金を滞納すると最悪の場合、財産の差押えや公売にかけられてしまうことが理解できたところで、最後に万が一税金を滞納してしまった場合に公売を回避する方法を3つご紹介します。

滞納中の税金を放置しない

先述したように、税務署も自治体はなるべく納税者からの自発的な納税を求めています。そのため、納税ができず困った時は放置せず、滞納の初期の段階で税務署などに相談しましょう。相談する時は、なぜ支払えないのかの説明と、分割納付や納付を待ってもらうなど、支払う意思があることをしっかり説明することが重要です。

公売予告通知が届くのは「支払いの意思がない」と税務署や自治体に判断されている状態のため、滞納初期の段階で相談し、支払う意思だけでも示しておくことが大切です。

滞納分を一括で納付する

税務署や自治体が自発的な納税を求めているとはいえ、相談したタイミングですでに長期にわたって滞納が続いていたり支払いの意志が見えない場合には、相談しても分割納付や支払いの猶予が認められないこともあります。

もし分割払いや支払いの猶予が認められなかった場合は、速やかに滞納分を一括で納付しなければならなくなるので注意しましょう。

自宅を差し押さえられたら任意売却を検討する

税金を滞納していたことで自宅が差押えられてしまった場合は、『任意売却』という手段を検討するのも手です。基本的に、差押えが入っている不動産は通常の売却ができませんが、任意売却という手段を使えば、不動産のローンの債権者である金融機関からの同意が得られれば差押えられた不動産であっても売却が可能となります。

公売で落札される価格は一般的な市場価格よりも安くなってしまうので、任意売却をして少しでも高く不動産を売却し、滞納分の税金の代金に充てたり、また、任意売却の場合は滞納分を支払った後の残金はそのまま自分のものとなるので、滞納後の生活の足しにもなるでしょう。

公売予告通知書が届いたら速やかに対応しよう

人生何があるかわからないので、突如として手元のお金が不足し納税さえもできなくなることは誰でも起こりうることです。そのため、1人で抱え込まずに困ったことがあればまずは税務署や自治体に相談し、速やかに対応することを心がけましょう。

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