代位弁済とは?代位弁済の流れやデメリットについてわかりやすく紹介
カードローンなどで滞納が続いた場合や、返済できない場合に代位弁済という言葉を聞くことがあります。あまり聞きなれない言葉ですので「代位弁済って何」と思われている人も多いのではないでしょうか。
この記事では代位弁済の内容や代位弁済された場合の流れ、デメリットなどについて詳しく解説します。
代位弁済とは第三者(保証会社など)が代わりに借金を返済すること
代位弁済とは、借主が借金の返済ができなくなったとき、第三者である保証会社などが代わりに返済する制度です。借主の借金がなくなるわけではありませんが、債権は保証会社など第三者に移ります。そのため、借主は第三者に対して返済を続けなければなりません。
代位弁済は、あくまでも貸主のリスクを抑えるための制度です。借主の返済に猶予を持たせるためのものではありません。たとえば、カードローンでは保証人や担保なしでお金を借りることができますが、貸し倒れのリスクがあります。
代位弁済によって、このリスクを軽減し、貸主も安心して貸し付けを行えます。代位弁済は、借り入れや貸し付けの利便性を向上させるための重要な対策です。
代位弁済されるとどうなる?一般的な流れ
ここからは、代位弁済された場合の一般的な流れについて解説します。
借金が滞ると貸主から借主への督促が行われる
借金の返済が滞ると、まず行われることは貸金業者から借主への督促です。最初の督促は通常、郵便や電話で行われますので、この段階で返済すれば、連絡のみで問題は解決します。
一度だけの滞納となってしまった場合でも、信用は大幅に低下してしまううえに、滞納してしまった事実は貸主側のデータとして残っているかもしれません。
そうなってしまうと、次にローンを利用する際、信用度が低下しているため、借入が難しくなる可能性があります。督促の連絡を無視し続けてしまうと、さらに大きなデメリットとなりますので、万が一滞納してしまった場合でも早急な対処が必要です。
督促を行っても返済されない場合は保証会社が貸主に代位弁済を始める
借金を滞納すると、前述したように最初は貸金業者から借主へ督促が行われます。しかし、督促に応じず、返済が行われない場合、貸金業者は保証会社に代位弁済を求めます。代位弁済が行われるタイミングは金融業者によってさまざまです。
一般的には3か月前後の滞納が目安と考えておくと良いでしょう。代位弁済によって保証会社が借金を肩代わりすると、今度は保証会社が借主に対して返済を請求します。
代位弁済されたからといって、借主の返済義務がなくなるわけではなく、返済先が変更になった上に延滞の利息を請求されるかもしれません。早期の対応が重要です。
代位弁済によって借金が支払われたら保証会社が借主へ請求する
借金を滞納し、代位弁済が行われると、保証会社が貸金業者に残っている借金を全額支払います。これにより、貸金業者への借り入れはなくなりますが、同じ金額を保証会社に返済しなければいけません。
代位弁済後は、借主に対して保証会社から「代位弁済通知」という書面が届きます。代位弁済後の保証会社からの返済請求を伝える書面です。事前に確認していないと、気が付いた時にはすでに遅かったといった事態も考えられます。
できれば代位弁済前に対処しなければいけませんが、代位弁済された後も保証会社にきちんと連絡して返済を続けることを心がけましょう。
代位弁済と第三者弁済の違いは弁済をする人が誰であるかの違い
代位弁済とよく混同されるのが第三者弁済です。第三者弁済とは、債務者に代わって第三者が返済を行うことを意味します。代位弁済と第三者弁済の違いは、弁済する人が誰であるかが大きく異なる点です。
ここからは、代位弁済と第三者弁済の違いについて解説しましょう。
第三者弁済は債務者の保証人などではない人(親族など)が代わりに返済すること
第三者弁済とは親族などが肩代わりして借金を支払うケースが当てはまります。利害関係がないものが債務を肩代わりする場合には債権者、債務者の承諾や同意が必要です。債権者が同意したからといって勝手に債務を肩代わりして良いわけではありません。
債務者も同意した場合、返済が可能となります。
代位弁済の主なデメリット
ここからは、代位弁済の主なデメリットについて5つのデメリットを挙げました。代位弁済のデメリットについて詳しく解説します。
分割支払いでなく一括返済になってしまう
代位弁済が行われると、期限の利益が喪失し、今までの分割払いは認められません。保証会社への支払いは一括返済が求められます。さらに延滞期間が長いほど遅延損害金が加算されますので、返済額が高額になるケースも考えられます。
そもそも分割での支払いでも滞納しているわけですから、一括返済は非常に困難となるでしょう。
遅延損害金が加算されてしまう
代位弁済が行われると、借金の返済が滞っているため、返済の残債だけではなく遅延損害金が日々膨らんでいます。そのため、元金だけでなく遅延損害金を含めた金額を返済しなければなりません。
さらに一括返済が求められるため、返済が非常に厳しくなってしまうでしょう。
保証人も督促されてしまう
借金を滞納し代位弁済が行われると、保証人も督促される可能性があります。保証人は借主が返済できない場合に代わりに返済する立場です。保証会社が代位弁済した場合も、債権を引き継いだ保証会社から督促を受けます。
保証人になった人との関係性も大幅に悪化する可能性がある点もデメリットといえるでしょう。
信用情報機関(ブラックリスト)に登録されてしまう
代位弁済が行われると、信用情報機関に「代位弁済があった」という事実が記録されます。この情報は借金返済に関するものであり、今後、ローンを組む場合などに大きな影響を及ぼすかもしれません。
クレジットカードの新規発行や既存カードの利用、銀行や貸金業者からの借入、各種ローンの申し込みやスマホの分割払いなどに影響が出ます。これらの申請が認められずに、借り入れが非常にやりにくくなってしまうでしょう。
財産が差し押さえられてしまう
代位弁済後にも返済が滞ると、保証会社による財産の差し押さえが行われる場合があります。代位弁済後は、返済を肩代わりする機関が存在しません。つまり保証会社に対して一括返済ができない場合、借主は財産差し押さえを受け入れるしかありません。
代位弁済の対処法
代位弁済を受けた場合、借主は早急な対処が必須です。ここからは、代位弁済の対処法について詳しく解説しましょう。
一括での返済が難しい場合は保証会社に交渉する
一括での返済が難しい場合、代位弁済後に保証会社と交渉してみましょう。保証会社も一括での返済が難しいことはよく理解しています。差し押さえや競売などの手間を考えると、保証会社にとっても分割払いにメリットを感じるかもしれません。
素直な状況説明と返済意思を明確に表すことにより分割払いのままにできる可能性も考えられます。
債務整理について相談して生活再建を図る
返済が難しい場合は、債務整理を検討しましょう。債務整理には任意整理、個人再生、自己破産などの方法があります。任意整理や個人再生では、債務の減額や返済期間の延長などの交渉が可能です。
自己破産の場合は、債務自体の免除もできます。専門家に相談してベストな手続きを選択し、債権者との交渉を通じて借金問題を解決しましょう。
自宅を任意売却して売却したお金で返済する
住宅ローンを滞納している場合は、任意売却も効果的な解決方法です。債権者の許可を得て市場で不動産を売却し、売却金で借金を返済します。競売よりも高値で売れる可能性があり、残債を完済できるかもしれません。
完済できずとも残債の大部分が返済できる場合があり、残った借金を返済する方法もできるでしょう。安い価格で売却できる競売よりも市場価格での売却が可能ですので、より借金を返済しやすくなります。
自身での返済が難しい場合は家族や知人に借りる
返済が難しい場合、家族や知人に相談し、返済できる資金を借りる方法が考えられます。家族に負担をかけ、信頼関係が大幅に悪化するかもしれません。しかし、家族や知人から返済金を借りられると遅延損害金や財産差し押さえのリスクを回避できます。
相談時は背景や返済計画を誠実に伝えることが大切です。
代位弁済を放置しても時効は成立しにくい
代位弁済に至るまで放置しても、時効が成立するのは難しいといえるでしょう。保証会社の代位弁済後の借金請求権は、通常10年の時効が定められています。しかし、10年間も保証会社が返済を放置するわけはありません。
さらに、時効の中断(更新)という措置も存在し、裁判での請求など特定の事由があれば、時効期間が新たにスタートしてしまうのも時効が成立しにくい理由のひとつです。そのため、代位弁済を放置しても、時効が成立することは稀です。
代位弁済されたら早めに信頼できる会社へ相談しよう
基本的に代位弁済まで借金問題を放置してしまっている場合は、弁護士や司法書士などの専門家など信頼できる会社に相談するのがおすすめです。代位弁済が実行されると前述したように一括請求の対象となるため、まず、単独での返済は難しいでしょう。
そのため、債務整理や借金の減額交渉など、実績が豊富で信頼できる弁護士事務所などに依頼することで借金問題に悩まされることがほとんどなくなります。代位弁済まで到達している問題は自分一人で解決せずに信頼できる会社へ相談して悩みを解消しましょう。