固定資産税を滞納するとどうなる?
本記事では、固定資産税を滞納した時の対策について解説します。
「固定資産税」とはなにか?
固定資産税(こていしさんぜい)とは、土地や建物などの不動産を所有している人に対して課される地方税の一つです。これは毎年1月1日時点で、土地や建物などを所有している個人や法人が支払う義務がある税金です。税金の金額は、不動産の「固定資産評価額」を基準に算出されます。この評価額は、市区町村の担当部門が決定し、3年ごとに見直されます。
固定資産税の主なポイント
◼︎課税対象: 土地、家屋、償却資産(事業用の機械や設備など)
◼︎税率: 一般的には固定資産評価額の1.4%ですが、市区町村によって異なる場合があります。
◼︎納付先: 地方自治体(市町村)に支払います。
◼︎納付時期: 年に4回に分けて支払うことが多いです(自治体によって異なる場合があります)。
固定資産税を「納める時期」はいつ?
固定資産税の納付時期は、基本的には各自治体によって決められていますが、多くの市区町村では年4回の分割払いが一般的です。以下は一般的な納付時期の例です。
納付時期の例(4回分割の場合)
◼︎第1期: 4月末~5月初め
◼︎第2期: 7月末
◼︎第3期: 10月末
◼︎第4期: 翌年1月末
注意点:
- 具体的な納付期限は自治体によって異なるため、自宅に送付される「納税通知書」や各市区町村の公式サイトで確認することが大切です。
- 納税方法には、銀行やコンビニ、インターネットバンキング、口座振替などがあり、納税者の利便性が考慮されています。
納期限を過ぎると、延滞金が発生する可能性があるため、期日内に納付することが重要です。
固定資産税の「納税通知書」が届いたらどうする?
固定資産税の「納税通知書」が届いたら、以下のステップに従って対応する必要があります。
1. 納税通知書の内容を確認する
- まず、課税金額や納付期限などが記載されているので、内容を確認します。固定資産の評価額や税額が前年と異なる場合もあるため、注意して確認しましょう。
- また、分割払いの場合は各期ごとの納付期限も記載されているので、支払いスケジュールを把握します。
2. 納付方法を選ぶ
納税通知書には、いくつかの支払い方法が記載されています。代表的な支払い方法は以下の通りです。
- 銀行や郵便局、コンビニでの支払い
納税通知書に記載されたバーコードを使って支払います。 - 口座振替(自動引き落とし)
あらかじめ口座振替の手続きをしている場合は、指定された期日に自動的に引き落とされます。 - インターネットバンキングやスマートフォン決済
QRコードを読み取ったり、オンラインサービスを利用して納付が可能です。 - 市区町村の窓口で支払い
役所や自治体の窓口で直接納付することもできます。
3. 納付期限を守る
- 納付期限を過ぎると、延滞金が発生する場合があります。期限内に確実に納付するようにしましょう。分割払いの場合は各期の納期限に注意する必要があります。
4. 疑問点や誤りがあれば問い合わせる
- 課税金額に不明点や誤りがあると思った場合、納税通知書に記載された市区町村の担当窓口にすぐに問い合わせましょう。評価額の確認や修正の申請も可能です。
この通知書は、支払いの証拠や後で必要になる場合があるので、大切に保管しておくことも忘れないようにしましょう。
固定資産税を「納付しなかった場合」はどうなる?
固定資産税を納付しなかった場合、以下のような段階を踏んで、さまざまな不利益が発生します。
1. 延滞金が発生
- 納付期限を過ぎると、自動的に延滞金が課されます。延滞金は、遅延日数に応じて増加し、法律で定められた利率に基づいて計算されます。これにより、本来の税額よりも支払う金額が増えることになります。
延滞金の利率は通常、年7.3%(一部期間では軽減措置が適用され、年2.4%になることもあります)ですが、長期間滞納するとさらに増加します。
2. 督促状の送付
- 税金が未納の場合、自治体から督促状が送られてきます。この段階で速やかに支払うように求められます。
督促状が送られた後も支払わない場合、さらに強制的な措置が取られる可能性が高まります。
3. 差押え
- 督促状を無視し続けたり、納付しないまま長期間経過した場合、自治体は強制執行として、財産を差し押さえることができます。
差し押さえの対象は、銀行口座、給与、不動産、車両、その他の資産です。
差し押さえられた資産は、最終的には公売(オークション)などで売却され、その売却代金が税金に充てられます。
4. 信用情報への影響
- 通常、固定資産税の滞納は、個人の信用情報に直接影響することはありませんが、差押えなどの事態になれば、金融機関からの信頼が低下し、ローンやクレジットカードの審査に影響が出る可能性があります。
5. 行政サービスの利用制限
- 一部の自治体では、税金を滞納している場合、行政サービスの利用に制限がかかることがあります。例えば、自治体によっては、保育料の減免措置が受けられない場合もあります。
対策
もし固定資産税の支払いが難しい場合は、早めに市区町村の税務担当窓口に相談し、分割払いの申請や支払猶予の交渉をすることが可能です。自治体によっては柔軟な対応をしてくれる場合もあります。
「公売」にかけられてしまうとどうなるの?
「公売」にかけられるというのは、税金の滞納によって差し押さえられた財産が、地方自治体によってオークション形式で売却されることを指します。公売の結果、売却された財産の代金は、未納の固定資産税などの滞納分に充てられます。公売にかけられると、いくつかの段階が進行します。
公売の流れ:
- 財産の差押え
- 滞納が続くと、まず財産が差し押さえられます。差押えの対象には、不動産(家や土地)、動産(車や貴金属など)、預貯金、給与などが含まれます。
- 公売の通知
- 差押え後、自治体は滞納者に対して「公売を行う」という通知を送ります。この通知には、公売の日時や対象となる財産の詳細が記載されています。
- 公売の実施
- 差し押さえた財産が公売(オークション)にかけられます。公売は一般的にインターネットや自治体が指定する場所で行われ、参加者が入札していきます。
最も高額な入札者が、その財産を購入することになります。
- 差し押さえた財産が公売(オークション)にかけられます。公売は一般的にインターネットや自治体が指定する場所で行われ、参加者が入札していきます。
- 売却代金で滞納税を精算
- 公売で得られた代金は、まず滞納している税金に充てられます。売却代金が税額に満たない場合、残額は引き続き支払う義務が残ります。一方、代金が税額を上回った場合、残りの金額は滞納者に返還されます。
公売にかけられるとどうなるか
- 財産の喪失
- 公売によって、差し押さえられた財産は他人の手に渡るため、滞納者はその財産を失います。これは不動産や車などの重要な財産でも例外ではありません。
- 経済的損失
- 公売はオークション形式なので、差押えられた財産が市場価格よりも低い金額で売却されることが一般的です。そのため、正規の売却を行うよりも大きな損失を被ることがあります。
- 信用の低下
- 差押えや公売にまで至った場合、他の金融機関や取引先に滞納や差押えの情報が伝わり、信用を失う可能性があります。これにより、今後のローン審査や金融取引に悪影響を与えることがあります。
公売を避けるために
公売が実施される前に、自治体と相談して分割払いや支払い猶予などを交渉することが可能です。滞納を放置するよりも、早期に自治体に相談して解決策を模索することが重要です。
固定資産税を滞納していても「任意売却」ってできるの?
固定資産税を滞納している場合でも、任意売却は可能です。ただし、任意売却にはいくつかの条件や注意点があるため、慎重に進める必要があります。
任意売却ができる条件
固定資産税の滞納がある場合でも、いくつかの条件を満たせば、任意売却は可能です。
- 市区町村の同意が必要
- 固定資産税を滞納すると、自治体がその不動産に対して差押えを行います。差押えが行われた後でも、市区町村の同意があれば、任意売却を行うことが可能です。任意売却によって得た売却代金から、滞納している固定資産税が支払われることになります。
- 残債務の調整
- 不動産に住宅ローンが残っている場合、金融機関との交渉が必要です。金融機関も、任意売却の際に抵当権の解除や売却の同意を求められることになります。
- 差押えが解除される必要がある
- 固定資産税を滞納した場合、差押えがかかっているとそのままでは売却できません。自治体との交渉で売却後に税金を完済することを約束し、差押えを解除してもらう必要があります。
固定資産税を滞納していても、差押えがかかる前に自治体と交渉し、任意売却を行うことは可能です。早めに行動することで、競売や公売よりも有利な条件で財産を処分し、滞納分を清算することができます。
困った時の相談先は?
一般社団法人 任意売却支援機構は、任意売却を専門に扱う不動産会社です。
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