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任意売却の意味と概要

2019.01.04お知らせ

任意売却と競売は別々の制度ですが、初心者の方にとってはそれぞれの違いがわかりにくいかもしれません。ここでは任意売却と競売の違いをまとめつつ、それぞれの特徴について見ていきましょう。

・任意売却と概要

任意売却とは、住宅ローンなどの借入金が返済できない場合、金融機関の同意のもと、売却後も住宅ローンが残る不動産を売る方法です。

住宅ローンが完済されていない場合、分割して返済する権利が失われ、貸し出した金融機関が残りの住宅ローンの全額を一括で回収しようとします。残りの債務が一括して返済できない場合、金融機関は強制的に担保となっている資産を売却し、売却価格によって住宅ローンを相殺する手法をとります。これがいわゆる競売です。

この担保不動産を強制売却するのはオークションです。裁判所は、競売物件が所有者の同意なしに売却されることを認め、なおかつ、所有者の代わりにオークション形式で不動産の落札者を決定します。

任意売却支援機構には、ローンがまだ残っているけれど競売はさけたい」という物件所有者からの相談が多く寄せられています。」

・任意売却の成功と失敗

一般に所有されている不動産を売却する場合は、不動産に抵当権が設定されている場合、債務を完済し、売却時に抵当権を抹消しなければなりません。ただし、売却代金でローン残高を返済できない場合、また、不足額を自己資金で補うことができなくても、任意売却によって抵当権を残したまま不動産物件を売却することが可能になります。

任意売却を成功させるためには、所有者だけでなく、債権者、つまり金融機関の協力、あるいは売却担当の不動産仲介業者の法的な認知能力が重要となります。金融機関の同意が得られなかったり、不動産業者のほうが任意売却を受けつけていなかったりする場合、競売になる可能性が高いと言えます。

任意売却を検討する場合はまず、任意売却を得意とする不動産業者をピックアップし、そのうえで支援機構と連携を取り具体的な売却プロセスをシミュレーションしていく必要があります。

・任意売却と競売の違い

任意売却の基本的なプロセスは、通常の不動産売却と同じです。任意とは、債務者の合意のもとで不動産物件を処分することを意味します。
一方、競売は正式には一般競争入札と呼ばれ、債権者は債務者または連帯保証人が所有する財産の売却を裁判所に申し立て、裁判所はその時点で該当の資産を強制的に売却する権限を有します。
競売とは異なり、任意売却では債務者の意思にもとづいて不動産物件を処分することができるため、物件の引き渡しのタイミングについても自分自身で決めることができます。
また、競売は手数料が上乗せされるなど、返済が遅延するほどトータルの返済額が増えることになります。競売の場合は任意売却よりも安い価格で販売される可能性があり、債務者にとってはデメリットのほうが大きくなると言えますので、返済が困難になったり、将来的なローン返済が難しいと感じたら、躊躇せずに任意売却による解決方法を摸索しましょう。

・自己破産しても任意売却は可能?

現状を見ると、任意売却によって住宅ローンの残高がすべて相殺できるケースはきわめてまれであると言えます。残債のリスクは購入時の自己資金の割合と月々の返済額によっても異なりますが、一般的に、返済期間が25年を超えると急激に高まると言われています。
任意売却後、債権者と話し合った後、毎月の返済額をあらためて決定しますが、通常、月額10000円〜50000円程度が相場になります。したがって、住宅ローンの残高が500万円、1毎月の返済額が10,000円であれば、完済まではおよそ500カ月、つまり40年以上かかる計算になり、生涯にわたって支払いを続けることになるため、このようなケースでは借金整理の一環として「自己破産」の申し立てを考慮する必要があります。

自己破産申請によってローンの返済が免除されれば、金銭面と精神面の両方で余裕が生まれるため、その後の人生設計を立てやすくなります。給与や年金は自己破産によって差し押さえられる可能性があると誤解されているようですが、憲法25条の生存権によって最低限度の収入は保障されており、破産後もすべての自由がうばわれるわけではありません。

・任意売却と自己破産

自己破産の申し立てをした場合、裁判所で審査が行われ、一連のプロセスによって自己破産を承認するか否かの判断が行われることになります。賭博、風俗関連、詐欺事案などによって借金苦に陥った場合、「公序良俗に反する」として自己破産が認められない場合があります。

ただ、やむを得ない事情により自己破産が主張されていると認められる場合には、上記の事案に該当する場合でも例外として破産申請が認められることもあります。自己破産から7年が経過した後、再度自己破産請求を行う権利が得られますが、その場合には裁判所の審査が非常に厳しくなり、チェック項目も多くなります。自己破産した場合、基本的に少なくとも5年間は金融機関などのローンを組むことができないので、そのあたりも考慮に入れたうえで専門家とともに生活再建計画を立てましょう。

・任意売却にあたって意識すべき抵当権

抵当権とは、金融機関(債権者)が将来確実にローン残高を回収するために、担保(保証)として不動産物件に設定される権利を指します。これは「抵当権設定」と呼ばれます。
住宅ローンには「固定式抵当権」と「リボルビング式抵当権」があります。ほとんどの抵当権は固定式であり、したがって、住宅ローンなどの新規借り入れを前提としない抵当権であり、一方のリボルビング式はおもに事業資金の調達を視野に入れた抵当権となります。
住宅ローン(リボルビング式を含む)では登録順位にしたがって先取権を有する一方、マンションの管理費など、抵当権設定以前に支払い義務が課されているものについては一定の範囲で控除が認められます。
任意売却における「残存債務」とは、余剰の借入を意味し、債権者に売却代金を納めたとしてもローン残高が残ってしまう状態を表します。金融機関は売却と同時にローンをすべて返済しないかぎり抵当権を抹消しませんが、任意売却に同意した債権者に関しては、残りの債務が残っている状態でも抵当権抹消に応じる義務があります。

・任意売却の注意点

残存債務の決済については、債権者との交渉を行い、債務者の経済状況を説明したうえで返済額を決めていくかたちになります。

また、住宅金融機関等の公的金融機関以外の債権者は、債権の取り立てを債権回収会社に委託し、債権そのものを転売することができます。不動産物件の再販価格は残りの借入額の10分の1から100分の1になってしまうと言われており、直接債権者への返済を継続するのではなく、債権が移転された債権回収会社と話し合ったうえでそれ以降の返済プランを立てることになります。

ただし現実には、対象物件の任意売却がうまくいかず、結果として競売に移行するケースが多いようです。そのおもな原因として、以下のようなものが挙げられます。

1、債務者の非協力
2、仲介する不動産業者の任意売却に関する経験と知識の欠如
1に関しては、債務者の努力もある程度影響してきます。たとえば、 物件の清掃を普段から怠っていた場合、債権者からは「任意売却にかけても売れないだろう」と思われてしまい、売却手続きそのものに応じてもらえない可能性があります。
現状では、任意売却を専門とする不動産業者は非常に少ないのが現状です。そのため、最初の業者選びと業者との相性が何よりも重要となり、スキルの低い業者と契約してしまうと本来なら短期間で売れるはずの不動産物件も売れ残ってしまいます。
無料で複数の不動産業者を比較査定できるサイトも増えてきていますので、任意売却にあたってはまずそれらの情報にアクセスし、入念な準備をととのえましょう。

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